治療法の選択 - 入れ歯とブリッジとインプラント
欠損部の治療法の種類と選定
歯を失ってしまったら必ず歯のない部分(欠損部)に人工的に歯を入れ、噛む機能と発音機能、審美的な改善が必要になります。
人工的に欠損部の回復をはかるためには
- 入れ歯
- ブリッジ
- インプラント
の中から選択することになります。
そこでいずれの治療法を選択するかについては、
- 欠損している部位
- 欠損部分の周囲の天然歯の状態
- 患者さんの希望や経済性
などのご自身の背景を考慮することが大切です。
他方、入れ歯、ブリッジ、インプラントの各々の治療法や治療が終了してからの機能的な特徴、さらに治療後の健康維持のための管理などを十分理解し、その上でご自身にとっての価値などをしっかり認識することが極めて重要なことと言えます。
これらの3種の治療法(入れ歯、ブリッジ、インプラント)の選択基準について下顎の第一大臼歯の1歯欠損している症例を上げて説明いたします。
症例 A1 入れ歯治療適用症例
この症例は、歯周病により多くの骨量が吸収されているため抜歯しました。また、抜歯した両隣の歯の根のまわりも歯周病により骨量が少なく、そのため歯に中度の動きが認められました。もし、ブリッジ治療を適用した場合は、ブリッジ全体が徐々に動きが増すようになり、予後は大変不安となるでしょう。また、インプラントを埋めるための骨量の不足が考えられます。さらに多くの歯が動いているような場合は、インプラントだけ動きがないので天然の歯との不調和が生じ、噛む機能に障害が起こることになるでしょう。
症例 A2 ブリッジ治療適用症例(インプラント不適症例)
インプラント治療はインプラントという人工歯根を歯のない部位(欠損部)の骨(歯槽骨の骨)の中に埋めて、人工歯根の安定をはかる治療法です。ということは、この症例のように歯周病により欠損部の骨が吸収されている場合、骨の量が不足しインプラントは埋められません。
この症例はブリッジを選択しました。その理由は欠損部の両隣の歯の根のまわりの骨の量が十分存在しているからです。もし、両隣の歯の根のまわりの骨の量が少なく、歯に動きが認められる場合はブリッジ全体が動いてしまうためブリッジは不適となります。この症例は、入れ歯も選択肢の一つと考えられます。
症例 A3 インプラント治療適用症例
この症例は、インプラント治療を選択しました。その理由は歯のない部分(欠損部)にインプラントを埋めるための十分な骨が存在していることです。また、インプラント治療のもう一つの利点はこの症例のように欠損部の両隣の歯を積極的に削らないことです。
入れ歯の患者学 目白若林歯科歯周病研究所 03-3954-6681 |
|